新光産業株式会社
宇部発、売上高100億円への挑戦
新工場建設で加速する事業成長
新光産業株式会社は宇部市と山陽小野田市にまたがる企業団地に新工場を建設し、熱交換器やタンクを製造する機械事業部の移転を進めています。同社は、売上高100億の実現に向けた事業規模拡大を目指しており、今回の新工場建設はその成長戦略を支える重要な取り組みの一つです。YMGPは助成金活用の支援や人材紹介を通じて、同社に伴走を続けています。今回の対談では新光産業の沖将介社長と新谷浩専務、YMGPの岡と湯淺がこれまでの歩みと今後の展望を語りました。
左からYMGP岡 新光産業㈱新谷専務、沖社長、YMGP湯淺
― 機械事業部の移転を決められました。この経緯を教えてください。
新光産業株式会社 沖 将介社長(以下、沖社長) 当社は、2025年に創業90周年を迎えました。私が社長に就任して2年弱ではありますが、この伝統ある会社を未来につなぐには、現状維持ではなく、変化への挑戦が必要だと感じています。設備も10年経てば10年分古くなります。現状維持のつもりでも、更新を重ねなければ実質的には後退してしまう。次の世代が気持ち良く働ける環境を整え、未来へ向けた道筋をつくっていくことが私の使命だと思っています。
現在、機械事業部は宇部駅の北側にあります。かつては鉄道輸送の利便性を活かせる立地でしたが、宅地開発の進行や工場敷地内を横断する公道の存在など、今後の事業継続を考えると課題がありました。そのため、より効率的な業務運営ができるように、移転を決めました。また、機械についても創業時に導入したものが今なお稼働できる状態ではありますが、産業全体がコンピュータ制御へ移行している中で、将来を見据えれば、更新が不可欠です。加えて、敷地内のコンクリート等へも経年劣化が見られはじめているなど、設備面からも整え直す時期に来ていると考えます。
機械事業部では現在、約80名の社員が働いています。事業を将来にわたって続けていき、社員一人ひとりが安心して力を発揮できる環境を整えることは、私たちにとって何より大切なことです。コンピュータ制御が進んでいるとはいえ、人の役割がなくなるわけではありませんし、長年培ってきた技術や匠の技は当社の大きな財産です。こうした人材と技術を未来につなぎ、より発展させていくためにも拠点の移転を決断しました。
― 新設・移転は大規模な設備投資です。YMGPの支援スキームはどのようなものですか。
株式会社YMFGグロースパートナーズ 課長 岡 達也(以下、岡) 資金面では、設備投資に関わる法人税等の優遇措置を受けられる地域未来投資促進税制の活用ができるかどうかを検討しました。同税制は他社にない先進性を認められる必要があります。YMGPとして地域未来投資促進税制の採択に向けて取り組むのは初めてではありましたが、所管官庁とも連携して準備を進め、ご提案しました。
併せて中小企業成長加速化補助金についても情報をキャッチアップし、採択に向けて動きました。新光産業様が地域未来牽引企業(※)にも認定されていましたので、こちらも採択に向けた加点評価となることから、積極的にご支援しました。
※ 経済産業大臣により選定された、地域経済の中心的な担い手となりうる企業
― 先進性の発掘など、支援の中で重視した取り組みを教えてください。
岡まずは競争優位性をしっかり見出すことでした。新光産業様の競争優位性がどこにあり、どの市場で強みを発揮していけるのか。もちろん、その市場自体のポテンシャルも考慮しました。新光産業様はもともと先進的な特許技術を持たれており、その価値や強みを適切に伝えられるように注力しました。特に食品や医薬向けの熱交換器は省エネ性能に優れ、洗浄、メンテナンスも容易にできます。この開発や販売も上場企業と連携しながら取り組んでいるなど他社にはない、大きな優位性があります。
沖社長 ご提案いただく中で、私自身も今後どこに成長の余地があり、どの領域に力を入れていくべきかを見つめ直すことができました。特許に関しても、取得したものの活用しきれていない技術もありましたので、これらは改めて訴求ポイントを明確にして、今後の事業拡大に活かしていきたいと思います。そこを整理できたことにも感謝しています。
当社としても、売上100億円を目指す“100億宣言”(※)を掲げており、事業を成長させていきたいという強い思いがあります。今回の工場移転は、その実現のための重要な要素です。新工場により、大型製品への対応力が高まり、これまで難しかった30トン以上の製造も可能になります。こうした取り組みを通じて、地域の中小企業であっても大きく成長できる基盤を整えていきたいと考えています。
※ 中小企業の皆様が飛躍的成長を遂げるために、自ら、「売上高100億円」という野心的な目標を目指し、実現に向けた取組を行っていくことを、宣言するもの
新光産業株式会社 新谷 浩専務(以下、新谷専務)機械事業部の熱交換器やタンクは主に石油化学メーカーや食品関係の企業と取引をしていますが、他にも岡さんが他社にない優位性と評価してくださったのが、大手自動車メーカーのレース向け水素自動車のタンク製造です。これから伸びてくる分野の先駆けになる技術だと感じています。液体水素という極低温領域での製造は、高度な技術力が求められるため、そこで培った経験や技術力は今後も当社にとって大きな強みになっていくと考えます。
― YMGPはこのたび人材面でも支援しています。その背景と人材について考え方もお聞かせください。
株式会社YMFGグロースパートナーズ 係長 湯淺 彩実(以下、湯淺)新光産業様とのお話の中で、事業を成長させていく上で、“人材の強化が不可欠である”という認識を共有できたことが大きなきっかけでした。成長戦略をしっかり支えられる方をお迎えすることが最適ではないかと考えました。そこで、金融機関でマネジメント業務を経験してきた人材をご紹介し、選考を経て採用いただきました。現在は企画管理グループのグループリーダーとして、前職の経験を活かし、保有不動産の管理、株式の管理、補助金の対応などの業務を担われていると伺っています。今後も、新光産業様のニーズに沿った人材をご紹介することで、継続的にサポートしていきたいです。
新谷専務成長戦略を推進する中で、社長からは、不動産など会社が保有する資産をより有効に活用していく必要があるという話がありました。金融機関出身の経験を持つ方に来ていただいたことで、資産管理や数値面での体制が整い、内部強化が進んだことは非常に心強いと感じています。
沖社長 YMGPさんと人材面でも議論を重ねることで、金融機関出身者に参画いただくことができ、大きな力となっています。
組織としては、能力を発揮し成果を生み出す人材をきちんと評価し、昇格に導くことが必要と考えています。それが組織全体の士気を高めます。私は社員が昇格するときに、“あなたは部長になるけれど、その次の部長のことも考えないといけない”と伝えています。自分の次の世代を意識することが、組織を継続的に強くしていきます。
若い方は一度都会に出ることもありますが、地元に残る人や、いずれ戻ってくる人もいます。当社はこの地で創業し、地域に根差してきました。だからこそ、このような方のためにも将来にわたって残り続ける企業でありたいです。
岡都会に出た人たちが、いずれは戻ってこられる場所が山口県宇部市にあり、「新光産業があるから戻ってきて働きたい」と思ってもらえる会社にしていきたい――。そんな沖社長の思いを、今回改めて強く感じました。機械事業部の移転は社員の雇用を守りながら、企業を成長させるために欠かせないプロジェクトです。その背景には、会社と地域の未来を見据えた社長の強い覚悟があると感じています。
― 今後の展望をお聞かせください。
岡まずは機械事業部の移転後も事業がしっかりと軌道に乗るよう、継続して支援していくことが大きな柱となります。具体的な数値目標は計画に落とし込んでいますが、どの順序でどのようにアプローチしていくかが重要になります。工場が稼働し始めるとお悩みのポイントも変わってくると思いますので、状況に応じて必要な支援を行っていきたいと考えています。また、これまでも脱炭素対応や研修などの関与をさせていただいておりますが、引き続きYMGPとして力を結集し、組織面や販路拡大などの課題を共有し多角的なご提案ができればと思っています。
沖社長 新光産業には機械事業部以外にも複数の事業部があり、私は建築部門からの生え抜きとして、2024年に社長を拝命しました。建築も機械も、いずれの分野も時代とともに変化しています。その変化に対応しながら、生産性向上と技術者の育成を両立していくことが、これからの企業力につながると考えています。また、技術を身につけ、手に職をつけたいという人も出てくるでしょうから、そういった人材についても紹介いただければと思っています。
新工場の稼働は、創業100年に向けた土台づくりの大きな一歩です。皆様に信頼される人材と組織をつくり、地元の中小企業として年商100億円を安定的に維持できる会社を目指していきます。“新光産業”という名前を未来へつなぎ、社員が笑顔で働ける明るい会社にしていきたいという想いを胸に、これからも挑戦を続けてまいります。
新光産業株式会社様
本社:山口県宇部市厚南中央二丁目1番14号
事業内容:
1.土木・建築設計施工、舗装工事
2.橋梁、水門、クレーン、除塵機、鋼構造物等設計製作及び据付
3.油圧フランジ、クランプ継手、住宅基礎鉄筋ユニットの製造販売、フッ素樹脂ライニング加工、超高真空機器の設計、製作、据付
4.圧力容器、医薬品・食品機械装置、マイクロバブル機器の設計・製作
5.電気・計装・コンピュータシステム開発
詳しくは 公式サイト をご覧ください。