株式会社シモセン様

事業承継・組織強化を目指し、”同舟共命”で出帆
出資×ハンズオン支援を通じて[寄りそう経営]を次世代へ

本記事では、株式会社シモセン 村上 博史代表取締役社長と当社取締役の豊田 良雄が事業課題解決へのスキームや将来展望を語りました。


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左から㈱シモセン 井上営業部次長兼企画室長(YMfgから出向中)、村上社長、当社豊田

― はじめにシモセン様の事業内容と沿革を教えてください。

村上社長 株式会社シモセン 村上 博史 社長(以下、村上社長)

 1902年(明治35年)に曾祖父の村上 甲之進が対岸の門司で海運業を始めました。その海運業から今の業態へと移るようになったのは1933年(昭和8年)です。世相が戦争へ向かう時代の中で思うところがあったのだと思います。当時から関門港は日本4大港湾の一つと言われるほど活気があり、関門に集まる船に船具を供給したいという志を立てて下関での船具商に衣替えしました。 海から陸に上がりましたが、創業以来、一貫して海に関わる仕事を続けています。
 船具といえば、錨(アンカー)やロープ、ワイヤー、救命設備などはすぐに思い浮かぶと思いますが、船具商というのは”何でも屋”のようなところがあり、船室の照明器具やドア、船の中での生活に使う鍋、トイレットペーパーなども扱っています。取引先としては造船と海運がそれぞれ約4割、水産関係が1割強となっています。


― 経営面での課題はどのようなものでしょうか。

村上社長 村上社長

 私たちの営業基盤は国内です。どの企業も同じだと思いますが、営業基盤が国内であれば少子高齢化で次第に市場はシュリンクします。この状況において、次世代に向けて新たな収益基盤をどう作っていくか。そして、それに向けてどのような組織体制にしていくか。この二つが大きな課題であり、切り離せない一体的な事業承継の課題です。
 当社は私で4代目のファミリー企業ですが、100年以上も続く村上家でトップを出し続けるのは難しくなってきます。次世代の経営層の育成はきちんと行わなければいけません。少し究極的な言い方をすれば、これまでの組織は社長と社員という関係で成り立ってきたわけですが、シモセングループ4社の社員数が100人を超えてくると、今までの仕組みでは限界があります。 収益基盤の強化と組織体制の強化を同時に行うにはどうすればよいか。それを相談したのが、今回の取り組みのきっかけです。


― YMGPとしてどのようなソリューションを提供したのでしょうか。

豊田 株式会社YMFGグロースパートナーズ 取締役 豊田(以下、豊田)

 シモセン様と山口銀行は創業期からの長いお付き合いがあり、社長様から山口銀行を信頼していただけていたということが前提にあると考えています。長年、銀行からの出向者も受け入れていただいており、そのご縁がある中で、山口銀行とワイエムコンサルティング(YMGPの前進のひとつ)でテーマに応じて支援をしてきました。
 大きなテーマである事業承継について、村上社長とどういう形が良いかという話をしている中で、出資と人材の派遣という枠組みがマッチすると考えました。YMfgで組成したエリクサー2号ファンドは事業承継、事業成長を対象としていますので、村上社長とお話をする中でこれが最適でした。


― 出資と人材の派遣による効果をどのように感じていますか。

豊田 豊田

 外から人が入ることによって第三者の目線で見ることができますが、さらにファミリー企業の中にYMfgが株主として名を連ねることで、株主の中にも第三者の目線が入ります。これによってガバナンスを高度化できるということが、村上社長と合意できた部分だと思います。社長からは次世代の経営層の兄貴分になる人を派遣してほしいというお話もありましたし、覚悟のある人材を送り出しました。
 出資について言えば、銀行としてはこれまで事業承継のつなぎとして持たせていただくという部分にとどまっていましたが、YMfgの中期経営計画にもあるように企業様と一緒に汗をかいてやっていくということが、今般の我々が掲げている目標でもあります。

村上社長 村上社長

 私自身は銀行さんへ決算を報告したり、次期の方針をお話したりするときが一番緊張しますが、出資いただいて以降は、株主総会にも銀行さんが出席されます。そこにはまた別の緊張が生まれますが、これは非常に良い緊張関係です。ガバナンスが有効に作用するという意味でも、この良い緊張関係を引き継げると思います。
 YMfgから来ていただいた方は、よく動いてくれています。40代の金融マンが営業で走り回るのは大変だと思いますが、次世代の経営層になるコアな人材と伴走しながら、組織作りにも積極的に関与してくれています。日々の営業活動にとどまらず、幅広い視点での相談役を担っており、若手社員からも信頼される存在となっています。


― 次世代の経営層の育成について、構想を聞かせてください。

村上社長 村上社長

 船の寿命は長く、20~30年あります。私たちの仕事は船の一生に寄り添っていくことです。お客様とは世代を超えた非常に長いお付き合いになりますから、当社の社風としても誠実な社員が多い。当社のパーパスも「新たな分野を切り開き、徹底的に寄りそう」としています。新たな分野を切り開くところはトップがやってきましたが、実現できたのは社員が業務に徹底的に寄りそってくれたからです。
 次世代の経営層になりうる人材には、新たな分野を開拓するという課題を与えています。どういう商材がいるのか、どこを攻めていくか等、それぞれが課題を持って取り組み始めています。結果が出てくると本当にそこから経営層が出てくるでしょう。組織も今は縦割りですが、横串に移るかもしれません。その意味でも事業承継と組織体制の強化は一体であり、両方をやっていくことで将来の形が見えてくると考えています。


― 4世代続く伝統ある企業ですが、事業承継にあっては創業家にこだわらない。この部分への葛藤はありましたか。

村上社長 村上社長

 どういう形で決着するのかはまだ分かりませんが、外からも、社内からも、身内からも、全部に可能性があります。身内しかないと決めつけてやっていくと、身動きが取れなくなる気がしています。会社はやはりトップ次第ですが、100人を超えると、みんなが私を見ながらやるというのも難しくなる。誰がトップをやるかというところも含めて、やり方を変えていかないといけない。もちろん身内がなるほうが楽は楽です。それでも、次世代を考えて、いろいろな選択肢を持てる会社になったというのは嬉しいことです。


― 今後の展望を聞かせてください。

豊田 豊田

 我々の目線で語るのは失礼かもしれませんが、同舟共命型ビジネスモデルを確立させたいという議論をしている中で、私の中で頭に浮かんできたのは村上社長の顔でした。実際にお話をお持ちし、細かい調整はしましたが、まさに、私たちの目指す方向性と一致する取り組みだと思います。
 YMfgは地盤としているエリアに腰を据え、覚悟を持ってやっていく中で、やはり地域を元気にしたいという思いが強くあります。地域の皆様が元気にならなければ、この地域の未来はありません。そして、地域が衰退すれば、私たちの成長も発展もないと思っています。今回の取り組みを通じて、シモセン様がさらに成長していただきたいですし、出資はシモセン様が成長していけるように寄り添っていきたいという決意表明でもあります。

村上社長 村上社長

 日本の船具商の中でも特徴ある強い会社になりたいという夢があります。新たな分野を次の世代と一緒になって作り上げながら、組織形態も変えながら、それを叶えていきたい。それと同時に徹底的に寄り添い、やり遂げていくことによって、真面目で誠実な社風を守る。併せて私もYMGP、地域と一緒に豊かな未来を築いていきたいと思います。

豊田 豊田

 シモセン様のさらなる事業成長に向け、引き続き『同舟共命』で取り組んでいきたいと思います。

株式会社シモセン 様

会社画像

本社:山口県下関市細江新町3番56号

事業内容:船用品・水産資材・機工資材販売、船舶救命設備整備、ワイヤーロープ加工・工事、漁具製作

詳しくは 公式サイト をご覧ください。

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